脳卒中
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症例報告
延髄・頸髄移行部梗塞による右片麻痺の後,右中心前回内側梗塞にて対麻痺を呈した一症例
丹羽 央佳濱 哲夫
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2011 年 33 巻 2 号 p. 255-261

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抄録

右頸部痛で発症した72歳男性が,右中枢性顔面神経麻痺,右軟口蓋麻痺,右胸鎖乳突筋・僧帽筋麻痺,右Horner症候群,右片麻痺,両側顔面と左半身の温痛覚障害,右半身の触・深部覚障害および両側Babinski徴候を呈した.MRIで右小脳半球,右延髄下部の背外側および上位頸髄の右半側に新しい梗塞を認めた.脳血管造影では両側椎骨動脈起始部が閉塞しており,盲端となった右椎骨動脈内の血栓が塞栓源となり梗塞を来したと考えた.杖歩行にて退院したが,76歳時に急性発症の完全対麻痺にて再入院した.他の新しい症状は,極軽度の左上肢脱力のみであった.頭部MRIでは,右中心前回内側に限局した梗塞がみられた.心原性ないし大動脈原性と考えられた.第1回の発作からの回復過程において,非障害側の下肢運動野が両側下肢を支配するようになり,次にそこに限局した梗塞が生じたために,対麻痺を来したと考えた.

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© 2011 日本脳卒中学会
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