脳卒中
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SephadexG-75注入による家兎脳梗塞の病態に関する実験的研究 (第2報)
出血性脳梗塞の発生機序について
金沢 武道崔 得華西村 崇小野寺 庚午目時 弘文
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1989 年 11 巻 4 号 p. 347-357

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抄録

目的 : 出血性梗塞の発生機序を解明するために本実験を行った.
対象ならびに方法 : 3kg前後の雄性家兎の左総頸動脈を結紮したA群20頭と結紮しないB群20頭に1 : 1 (v/v) のsephadexG-75 (SG-75) 生食浮遊液0.06mlを左内頸動脈に注入して脳梗塞モデルを作製した.対象として26頭を用いた.光顕と電顕により組織変化を観察し, さらに, 血流動態を観察するために, carbon灌流を行った.
結果 : (1) 出血性梗塞は左大脳皮質及び基底核部に好発した. (2) 出血性梗塞の発生頻度はA群<B群であった. (3) 灌流したcarbonは対照群では血管の末梢まで見えたが, SG-75注入群の梗塞巣では見られなかった.しかし, 出血性梗塞巣は認められた. (4) 出血性梗塞巣とその周辺部の血管を光顕ならびに電顕で観察すると, 血管の変性が著明に見られた.
結語 : SG-75の注入による出血性脳梗塞の発生機序として, 側副血行路から脳梗塞巣への出血が考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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