脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
発声困難な脳卒中後重症仮性球麻痺患者4 例の摂食・嚥下機能予後と開口障害について
小川 太郎
著者情報
キーワード: pseudobulbar palsy, trismus, dysphagia
ジャーナル フリー

2016 年 38 巻 5 号 p. 319-325

詳細
抄録

【目的】重症仮性球麻痺の嚥下機能と開口障害について記載した報告は少ない.4 例の症例報告から開口障害の有無と嚥下機能予後について考察し報告する.【対象】症例は63~83 歳,男性3人,女性1 人.脳卒中の病態はアテローム血栓性,ラクナ梗塞,被殻出血,心原性塞栓と多様だった.全例,発声不能で舌運動に重度の障害をみとめ,咽頭反射は陰性だった.4 例中3 例に重度の開口障害をみとめた.嚥下造影では口腔機能(送り込み)の障害と咽頭機能(咽頭収縮・喉頭挙上)に重度の障害をみとめたが,開口障害を伴わない症例は咽頭機能は比較的保たれていた.【結果】種々の摂食・嚥下リハ介入を行ったが,経口摂取可能になったのは開口障害のない1 例のみであった.経過中に肺炎を生じた症例はいなかった.【結論】脳卒中で開口障害をみとめる症例は比較的まれであるが,このような症例の嚥下機能予後は不良であると推測された.

著者関連情報
© 2016 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top