廃棄物学会誌
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東京ごみ戦争はなぜ起こったのか―その一考察―
石井 明男
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2006 年 17 巻 6 号 p. 340-348

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抄録

昭和46年に始まった東京ごみ戦争は, 社会的に大きな関心を呼んだ事件であったが, 改めて今日的な視点から捉え直すべく, 当時の東京都のごみ量増加と行政の対応について基本的な事実を検証した。ごみ量増加については, その組成からみて大きな比率となった紙やプラスチックについて, 紙の用途別販売量やプラスチック製品の生産量と, その内容からごみ量増との関連を述べた。また東京都のごみの特徴である事業系ごみの量を推計し家庭系に匹敵する量になったこと, さらに家計調査からライフスタイルの変貌, さらに住宅事情, 自家処理の状況等を明らかにした。
一方, 行政の対応からみると, 計画と実際との乖離がごみの海面埋立にしわよせされたこと, 計画の遅れも影響が大きく, また過去の輸送手段が, 戦後の都市建設のため機能しなくなり, 限られた道路に輸送車が集中したことなどを述べた。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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