廃棄物学会論文誌
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清掃工場燃焼室ボイラ水管の腐食状況および腐食環境に関する研究
占部 武生基 昭夫
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1996 年 7 巻 4 号 p. 174-182

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抄録

排ガス再循環運転を約5年間行った清掃工場において, 燃焼室ボイラ水管のキャスタ打設端から約30cmまでが特に減肉しやすく, そのスケールにはかなり多くのクラックが認められた。また, そのボイラ水管の付着灰にはCaSO4, NaCl, KCl等が, スケールにはFe2O3のほかにKPb2Cl5, K2ZnCl4, NaCl, Na3Pb2 (SO4) 3Cl等が同定された。これらの塩化物や硫酸塩化合物が腐食に関与している可能性がある。
同じ清掃工場で, 燃焼条件 (煙突でのO2濃度6.3~10.2%) を4通り変えて, 燃焼室の腐食環境 (ガス温度, ガス成分) の調査を行った。その結果, O2濃度10%程度の運転を行うと腐食環境は比較的穏やかであるが, O2濃度6%程度の低空気比燃焼を行うと, 腐食性ガス濃度が上昇し, ストーカ部の温度が上昇することによって塩類等の気化が促進されるとともに, 火炎が長くなりボイラ水管への輝炎輻射熱量が増えることや炉出口付近までCO, H2, H2S等の還元性ガス濃度が高くなることなどのため, 燃焼室のボイラ水管の腐食環境はかなりきびしくなることがわかった。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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