廃棄物学会論文誌
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論文
不適正埋立された廃棄物に由来する有害化学物質の周辺環境中における長期的変遷
土田 大輔高橋 浩司濱村 研吾鳥羽 峰樹黒川 陽一永瀬 誠宇都宮 彬
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2007 年 18 巻 6 号 p. 434-442

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抄録

産業廃棄物の不適正埋立が行われた施設の跡地において, 廃棄物中の有害化学物質による土壌や地下水などへの影響を調査した。施設跡地の埋立廃棄物を2003~2004年に調査した結果, 内部に油状廃棄物が残留した金属缶が発見された。油状廃棄物は, ガソリン, 軽油, エンジンオイル, コールタール製品に大別された。油状廃棄物中には, テトラクロロエチレン (PCE), トリクロロエチレン (TCE) などが含まれていた。施設跡地の土壌では, 一部の揮発性有機化合物 (VOC) が溶出基準値を超える濃度で検出された。検出された成分は, 油状廃棄物の含有成分と一致しており, 漏洩による汚染であると判断された。また, 埋立行為発生後の1990年から2004年まで, 廃棄物が地中に存在する状況で, 周辺地下水などを調査した結果, PCE, TCE, およびこれらの分解生成物であるシス-1,2-ジクロロエチレンなどが検出された。VOCによる汚染をこれら3成分のモル濃度比およびモル濃度和で評価した。モル濃度比は5年間の調査期間中ほぼ一定であり, PCEおよびTCEの分解度は約70%と推定された。3成分のモル濃度和は2000年以降に漸減した。

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© 2007 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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