廃棄物学会論文誌
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論文
有機性廃棄物の高速たい肥化用発酵槽の強制通気方法の改良
惠谷 浩
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2004 年 15 巻 3 号 p. 172-181

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抄録

槽幅3.5mの大形スクープ式横型発酵槽2基を用いて, 厨芥類を原料とし, 強制通気が槽横断面において均一化し良好な好気性発酵を起こさせるように, 通気方法を改良して発酵実験を行った。実験は原料の堆積高さを約1, 000~1, 600mmとし, 発酵槽の片方の槽壁側に設けられた送気管を通して通気しながら8~9日間行った。従来方法である槽底部多孔板の全体から通気すると, 槽横断面における原料の温度, 含水率, pHおよび有機物分解率の経日変化から, 送気側の槽壁部, もう一方の槽壁部, 槽中央部で好気性発酵の進捗に差異があることがわかった。この原因は, 槽壁と堆積原料との間の壁面摩擦力のために堆積原料の見かけ密度に差異を生じ, 通気量が不均一になるためと考えられる。槽底部の構造を改良して, 両方の槽壁に沿って多孔板に幅750mmあるいは1, 000mmの覆板を敷設した。その結果, 覆板の幅を750mmとし多孔板の中間部2, 000mmから通気すると, 良好な好気性発酵が進捗することがわかった。これは, 覆板の作用により見かけ密度の小さい槽壁部への通気が制限され, 通気が槽横断面の全体にわたって均一化するためと考えられる。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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