バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
サルからヒトの二足歩行を考える
木村 賛
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2014 年 38 巻 3 号 p. 169-174

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抄録

直立二足歩行は地球上でヒトのみが行う特異なロコモーション様式である.この歩行がいつ,どこで,どのように,なぜ獲得されたかを知ることは人類進化過程最大の課題の一つである.ロコモーションという動きを知るためにヒトと類縁であるサルのロコモーションを調べる比較運動学の研究が進み,化石の証拠と相まって二足獲得過程を明らかにしてきた.ヒトはアフリカにおいて700 万年ほど前に二足歩行を行うことでサルと分岐した.二足歩行能力はサル特有の樹上三次元での生活へ適応する中から発達してきた.これにより,ヒトは樹上より地上に降り立った時点から,すでにかなり優れた二足能力を持っていたと考えられる.これらの考え方は化石の証拠と矛盾しない.なぜヒトが二足歩行を始めたかに関してはいまだ不明なところが多い.

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© 2014 バイオメカニズム学会
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