速く歩くときに効果的な機能を果たす関節モーメントを見出だすことを目的として,7人の被験者に対して歩行時の下肢関節モーメントを計測した.各被験者は7mの歩行路を10種類の歩行速度(30〜140m/min)で歩いた.関節モーメントピーク値と歩行速度を変数とみなし,各変数間の相関係数を求めた.立脚後期中の膝関節屈曲モーメントを除き,すべての関節モーメントピーク値は歩行速度と線形関係を持っていた.特に股関節モーメントピーク値は膝関節モーメントピーク値,足関節モーメントピーク値よりも速度とともに増大傾向が強かった.立脚後期の足関節底屈モーメントは歩行速度との相関係数が小さかった.これらの結果は速く歩くためには股関節モーメントが重要であることを示唆している.