バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
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生命複製の科学技術とクローン牛創成への応用(<特集>生体細胞・組織工学)
尾形 康弘
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1999 年 23 巻 4 号 p. 203-209

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抄録

哺乳動物では,一度分化した体細胞からは,再び個体にまで戻すことは不可能かもしれないと考えられていたが,核移植という方法で,未受精卵子細胞質と融合することにより,遺伝子の初期化と正常2倍体核の再構築が可能であることが最近証明されつつある.細胞核と細胞質の相互作用を研究するために用いられてきた技術が,目的遺伝子を有する個体作出のための技術として脚光を浴びつつある.この核移植技術で誕生した,受精卵クローン,体細胞クローンは,動物工場による有用タンパク質や代替臓器の生産,ミルクや牛肉の品質向上と斉一化など多くの分野で変革をもたらす可能性がある.

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© 1999 バイオメカニズム学会
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