高齢者の歩行能力を基本属性による基準だけでなく, 観察者の主観評価も踏まえて評価する事は, 被評価者の歩行に対する意識を向上させ, 歩行能力改善への動機付けに効果的であると考えられる. 本研究は, 高齢者の歩行能力評価に有益な知見を得る事を目的に, 歩行姿勢に基づく見た目年齢評価式を開発し, その有用性について考察した. 観察者20名に幅広い年代の男女103名の歩行映像を観賞させ, その歩行姿勢に対して主観評価を実施した. その結果, 若く見える歩行姿勢の特徴は, 速く歩く, 背筋が伸びる, 腰が良く回転する, つま先が前を向く, 膝の向きの左右差を小さくする, 頭の前後や左右への揺れを小さくする, の7項目であった. 若年層歩行の特徴に加え, 女性歩行の特徴が若く見せる要因にもなる事が示唆された.