日本耳鼻咽喉科学会会報
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2ヵ月以上介在した乳児の咽頭異物2症例
佃 朋子工藤 典代
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2000 年 103 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

咽頭異物は,たいていの症例において,介在機点がはっきりし,患者自身がその存在を強く自覚することが挙げられる。しかし,乳児においては,症状を訴えることができず,診断が困難となる症例がしばしば見られる.我々は,2力月もの間発見されなかつた,咽頭異物の乳児例2例を経験したので報告した.喘鳴を主訴に受診した1歳女児は,脱水,と気道炎にて小児科で入院治療をした既往があり,歯ブラシの頭部が中咽頭から下咽頭にかけての後壁に刺入していた.10ヵ月男児は.体重増加不良を主訴としており,他院にて嚥下運動協調障害の診断を受け受診し,PTPが下咽頭後壁に刺入していた.両症例とも土咽頭高圧撮影および内視鏡検査にて診断がつき,全身麻酔下に異物を摘出した.乳児においては,口腔に入るものすべてが異物となり得る.他の疾患で説明のつかない発熱,喘鳴,嚥下困難,体重増加不良等の癌状のある患児を診察する際には,この疾患も念頭におく必要があり,また,異物の危険性につき広く啓蒙する必要があると思われる.

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