日本耳鼻咽喉科学会会報
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一側耳下腺内の多発性腫瘤の検討
高橋 光明藤田 豪紀安達 俊秀榎本 啓一石井 秀典吉田 真子北南 和彦坂東 伸幸執行 寛
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1997 年 100 巻 9 号 p. 946-951

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抄録

一側の耳下腺内に多発性の腫瘤性病変をきたす疾患は少ない. 今回, 画像診断 (シアロ-CTまたはMRI) により一側耳下腺内の多発性腫瘤と診断しえた13症例について集計した. 病理診断では10例が耳下腺の上皮性腫瘍で, このうち術後に再発した多形腺腫が6例と最も多く, ワルチン腫瘍が3例, 異なる組織型の上皮性腫瘍の混在したものが1例みられた. 他の3例は腺内リンパ節病変で, 悪性リンパ腫, 結核, 転移性腫瘍 (扁平上皮癌) の各1例がみられた. 全例耳下腺部の腫瘤, 腫脹を主訴に来院した. 触診上, 9例は単発性の, 4例は複数の無痛性腫瘤として触知された. また, 腺内リンパ節病変では頸部リンパ節腫大がみられた. 画像診断により判定した腫瘤の個数は9例は2個, 4例は3個以上あった. 画像上, 一側耳下腺内に複数の腫瘤を確認したとき, 多形腺腫の再発腫瘍, ワルチン腫瘍, 腺内リンパ節病変を鑑別しながら検索を進めることが重要である.

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