1997 年 100 巻 3 号 p. 351-356
エリスロマイシン (EM) およびクラリスロマイシン (CAM) が, 摘出イヌ気管粘膜におけるイオン輸送に及ぼす影響について, Ussing chamberを用いて検討した.
EM, CAMともに, 摘出イヌ気管粘膜の漿膜側投与, 粘膜側投与のいずれにおいても20分間の観察では短絡電流の変化はみられなかったが, イソプロテレノールに対する反応性は保たれていた. さらにアミロライド, ブメタナイドにより前処置を行い, 同様の検討を行ったが短絡電流の変化はみられなかった. 以上よりEMおよびCAMは, 摘出イヌ気管粘膜におけるイオン輸送に対しては少なくとも短時間では影響を及ぼさないものと思われた.