2021 年 72 巻 3 号 p. 313-320
「漢方診療を行う医師が患者に適切な鍼灸治療を提案できる」ことを目的として,鍼灸師7人,医師5人で構成したメンバーで鍼灸カリキュラムを試案し,漢方外来を担当する当研究所医師16人を対象に実施した。学習プログラムは講義と実習で構成し,合計4回行った。各学習プログラムではテストを実施して理解度を評価し,全学習プログラム終了後には漢方診療での有用性等についてアンケート調査した。各回の参加人数は平均10.8±1.3人であった。テスト(10点満点)結果は平均9.3±0.5点,アンケート結果は16人中14人(88%)が漢方診療に有用,やや有用と回答した。カリキュラム実施前後で,漢方外来受診歴のある鍼灸初診数を比較したところ,実施後は1.8倍増加した。これらの結果より,本カリキュラムが鍼灸に関する一定の理解ならびに漢方診療に役立つことが示唆された。 今後さらなる検討が望まれる。