日本東洋医学雑誌
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臨床報告
桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった視床痛の5症例
嶺井 聡貝沼 茂三郎多鹿 昌幸上間 進
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2019 年 70 巻 4 号 p. 337-343

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抄録

視床痛は視床出血や視床梗塞後の難治性中枢性疼痛として知られているが確実な治療法がない。そこで我々は視床痛に桂枝加竜骨牡蛎湯が有効だった5症例を報告する。症例1:63歳男性で3年前の左視床梗塞後に右半身の痛みがあった。症例2:68歳男性で13年前の左視床出血後に右半身の痛みがあった。症例3:74歳女性で3年前の右視床出血後に左上肢の痛みがあった。症例4:67歳女性で2年前の右視床梗塞後に左上下肢の痛みがあった。症例5:82歳男性で2ヵ月前に左視床を含む左被殻出血で右下肢の痛みがあった。全症例が桂枝加竜骨牡蛎湯の投与後に症状が改善した。しかし症例5は3ヵ月後に視床痛が再発し,桂枝加竜骨牡蛎湯単独では効果が持続せず,桂枝茯苓丸の合方が有効であった。画像所見から視床外側に病変が限局した視床痛に対して桂枝加竜骨牡蛎湯は一つの選択肢と考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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