日本輸血細胞治療学会誌
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症例報告
抗KEL26(TOU)と考えられる抗体が検出された1症例
米元 めぐみ紺谷 圭奈美岡島 さやか伊佐 和美常山 初江宮崎 孔渡邉 理香藤川 奈央中邑 幸伸平田 康司川田 明志本田 豊彦小林 正夫
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2023 年 69 巻 5 号 p. 599-604

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抄録

Kell血液型抗原は,そのほとんどがKEL遺伝子のミスセンス変異によることが明らかにされており,現在,国際輸血学会において,37種類の抗原が登録されている.その中で,26番目の抗原として登録されているKEL26(TOU)は,1995年にネイティブアメリカンの男性とラテン系の女性から検出された高頻度抗原に対する抗体が発端である.

今回,血清学的検査でKell関連抗体が示唆され,遺伝子解析により抗体の特異性が推定できた症例を経験した.

症例のKEL遺伝子は,KO(Kellnull)型に対応するKEL*02N.24とKEL26陰性に対応するKEL*02.-26のヘテロ接合型と推測された.KEL*02.-26は,c.1217G>Aの置換によりKEL26の抗原活性を担う406番目のアルギニンがグルタミンへ置換することが報告されており,抗KEL26の保有が推定できた.

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© 2023 日本輸血・細胞治療学会
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