日本輸血細胞治療学会誌
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症例報告
RhD陽性成分採血血小板,新鮮凍結血漿輸血後に抗Dを検出したRhD陰性の1例
田中 一人金子 なつき小山内 崇将久米田 麻衣阿島 光玉井 佳子伊藤 悦朗
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2017 年 63 巻 4 号 p. 619-624

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抄録

RhD陽性成分採血由来の血小板および新鮮凍結血漿輸血後に抗Dを検出したRhD陰性症例を経験した.患者は輸血時48歳(抗D検出51歳)の男性である.輸血前の不規則抗体検査は陰性で,手術中・後にRhD陰性Ir-RCC-LR-2 2袋,RhD陽性FFP-LR-Ap 2袋,RhD陽性Ir-PC-LR-10 2袋が輸血された.術後経過は順調で術後15日で軽快退院した.輸血1,349日後,再手術予定時の不規則抗体検査で抗Dが検出された.抗体価は8倍であり1,734日後も8倍を維持していた.抗体産生の原因は,成分採血由来血液製剤に含まれる微量の赤血球と考えられた.輸血されたRCC 2袋はいずれもRhフェノタイプにCeを保有しないため,Del型の可能性は低いと考えられた.抗体産生時期が不明のため,一次免疫応答か二次免疫応答によるものかは明らかにできなかったが,成分採血由来血液製剤中の微量赤血球であっても抗体産生を誘発するのに十分な免疫原性を有していると考えられた.本症例の経験から我々は,RhD陰性患者が同種血輸血を受けた場合は輸血1~4カ月後に不規則抗体スクリーニング検査を実施することを推奨している.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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