主に新生児溶血性疾患の交換輸血に用いられる合成血「日赤」(以下,BET)は,調製の際に大容量型の冷却遠心機を用いる.しかし,このような遠心機を保有する医療機関はまれであるため,血液センター以外の施設で,BETを調製することは困難とされる.さらに血液センター製造施設の集約により,医療機関へBETを届ける輸送時間が長くなる傾向にあり,医療現場においては緊急時に間に合わない危険性を否定できない.
そこで,我々はBETの簡便な調製方法について検討した.その結果,比較的汎用性の高い小型の卓上遠心機を使用して,BETと同等の品質を有する1/3容量の血液(以下,R-BET)を調製できることを確認した.さらに調製時,原料製剤となる赤血球濃厚液-LR「日赤」と新鮮凍結血漿-LR「日赤」の混和量を変えることで,R-BETのヘマトクリット値を35%から55%まで上げることも可能であった.
容易に調製が可能なR-BETは,緊急を要する場合の臨床での使用に有益であると考えられた.