2023 年 84 巻 2 号 p. 333-339
症例は37歳,男性.痙攣と意識消失を主訴に来院した.早朝低血糖がみられ,造影CTで膵頭体部境界の多血性腫瘍を指摘され,インスリノーマと診断された.手術を予定したが,併存症に神経線維腫症1型があり,他にも膵内に結節が多発しており,術中にインスリノーマ完全摘出の判断を行う必要があった.術前選択的動脈内カルシウム注入法,術中超音波検査,術中迅速病理,急速カルシウム静注負荷下の術中血中インスリン測定を併用し,膵部分切除術を施行した.術後3年経過し,再発は認めていない.