日本臨床外科学会雑誌
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症例
微小浸潤を伴う乳腺小葉癌が併存した葉状腫瘍の1例
今西 大樹野田 諭高島 勉田内 幸枝埜村 真也大谷 博坂井田 紀子
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2022 年 83 巻 12 号 p. 2049-2055

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抄録

乳腺葉状腫瘍に乳癌が併存することは非常に稀である.今回われわれは,小葉癌が併存した葉状腫瘍の1例を経験した.症例は51歳,女性.3年半前の乳腺超音波検診で左乳房ED区域に20mm大の粗大石灰化を含む低エコー腫瘤を認め,針生検で乳管腺腫と診断され経過観察を行っていたが,左乳頭血性分泌が出現したため再診,超音波検査で増大傾向があり,画像ガイド下乳腺腫瘍吸引術ではfibroepithelial lesionであったが,乳管上皮の過形成傾向があり左乳腺部分切除術を行った.組織学的所見では多数の拡張乳管内に葉状腫瘍が増殖しており,葉状腫瘍の上皮成分は高度過形成でその中に非浸潤性小葉癌の増殖巣を認め,0.5mmの範囲で微小浸潤を伴っていた.

葉状腫瘍内の癌の混在はほとんどの場合が乳管癌であり,小葉癌の混在は極めて珍しい.若干の文献的考察を加えて報告する.

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