日本臨床外科学会雑誌
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症例
CS法で修復した閉塞性S状結腸癌併存腹壁瘢痕ヘルニア(長径21cm)の1例
村尾 直樹坂部 龍太郎桒田 亜希中島 亨布袋 裕士田原 浩
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2021 年 82 巻 5 号 p. 988-994

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抄録

腹壁瘢痕ヘルニア修復術において,術野汚染を伴う手術ではメッシュを用いた再建は感染のリスクがあり適応外となる.今回われわれは,S状結腸癌イレウスを伴う巨大な腹壁瘢痕ヘルニアに対し,腫瘍切除とcomponent separation(以下CS)法での腹壁再建を行った症例を経験したので報告する.

症例は55歳,男性.体動困難で救急搬送された.CTでS状結腸癌によるイレウスと上腹部に縦21cm,横15cmの巨大な腹壁瘢痕ヘルニアを認め,拡張腸管が脱出していた.ステントで減圧を行ったが,11日後にステント閉塞と後腹膜穿通による膿瘍形成をきたしたため準緊急で手術を施行した.Hartmann術での腫瘍切除と,CS法での腹壁再建を行った.ストーマは左下腹部に作成し,腹壁の強度を保ちつつ閉創することが可能であった.創部には局所陰圧閉鎖療法を行い,合併症なく退院した.

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