2021 年 82 巻 4 号 p. 794-799
症例は34歳の女性で,10年ほど前から繰り返す右鼠径部膨隆を主訴に受診した.来院時は右鼠径部に軽度の疼痛を伴う索状物を触知した.腹部超音波検査で右鼠径部に28mm大の嚢胞性腫瘤を指摘した.症状の変化からNuck管水腫に発生した子宮内膜症を疑い,月経時にMRIを施行し診断を得た.鼠径部切開法で腫瘤を摘出し,病理組織学的検査では水腫内に子宮内膜と間質成分を認めた.挙児希望があったため術後薬物療法は施行せず,術後3カ月目の現在,無再発で経過している.