日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後15カ月無再発生存している回腸間膜原発Ewing肉腫/pPNETの1例
八木 健太真船 太一徳村 和彦角 勇作今村 史人神賀 正博
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2021 年 82 巻 4 号 p. 749-755

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抄録

症例は18歳,男性.心窩部から右下腹部にかけての疼痛を主訴に受診.腹部造影CTにて,右下腹部から骨盤腔にかけて上腸間膜動脈から血流を得る150×70mm大の巨大な腫瘤を認め,精査目的に入院となった.血管分布から回盲部の腸管や腸間膜由来の腫瘍などを疑い,診断的治療目的に手術を施行した.開腹すると中等量の血性腹水を認めた.腫瘍は腹膜,膀胱,30cm程度の回腸にそれぞれ強固に癒着しており,回腸を合併切除する形で腫瘍を摘出した.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.病理組織検査にて,腫瘍は回腸間膜由来のEwing's sarcoma/peripheral primitive neuroectodermal tumor(以下ES/pPNET)と診断された.腫瘍自体は切除できたが術中腹水細胞診で腫瘍細胞を認め,腹腔内微小転移の可能性を考慮し高次医療機関へ紹介,補助化学療法が施行された.術後15カ月経過した現在,肉眼的再発なく経過している.腸間膜原発のES/pPNETは非常に稀な疾患であるため報告する.

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