日本臨床外科学会雑誌
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症例
Humoral hypercalcemia of malignancyを発症した再発乳癌の1例
戸嶋 圭小笠原 豊河田 健吾
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2021 年 82 巻 4 号 p. 697-701

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抄録

症例は45歳,女性.右乳房に6cm大の腫瘤,右腋窩に1cm大のリンパ節を触知し,針生検の結果は,浸潤性乳管癌,核Grade3,ER(-) PgR(-) HER2(1+) Ki-67:85%であった.画像検査では遠隔転移を認めず,cT3N1M0 Stage IIIAの乳癌と診断し,術前化学療後に手術を施行した.組織学的治療効果はGrade1aであった.術後1カ月で局所,腋窩リンパ節再発,多発肺転移を認め,Eribulinを開始した.1コース終了時に血清Ca値が15.3mg/dlと高Ca血症を認めたが,造影CT・PET-CTで骨転移は認めなかった.Intact PTHは5pg/mLと正常値で,PTHrPが19.5pmol/Lと上昇していたことから,humoral hypercalcemia of malignancy(HHM)と診断した.ビスホスホネート製剤により血清Ca値は正常となったが,病勢進行が速く全身状態が悪化したため,乳癌に対する治療を再開することができなかった.

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