2021 年 82 巻 12 号 p. 2262-2269
肝細胞癌(HCC)を合併したDubin-Johnson症候群 (DJS)の肝予備能評価と周術期経過を報告する.66歳の男性がRickettsia属による感染の際に肝障害と肝S4,S2にHCCを指摘された.T-bil 4.6(D-bil 3.4)mg/dL,Alb 4.2g/dL,PT 92%,indocyanine green 15分停滞率(ICGR15)11%,Child-Pugh B(7点),肝障害度Aであった,99mTc-galactosyl human serum albumin(GSA)シンチグラフィのLHL15 は0.909で,肝予備能はほぼ正常と判断し,肝内側区域切除術+S2部分切除術を行った.術後3日目にT-bil が15.7mg/dLまで上昇したが28日目に術前値に復した.ICGR15とGSAシンチグラフィは正確に肝予備能を反映した.術後のT-bilの上昇は一過性であった.