日本臨床外科学会雑誌
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症例
カルチノイドへの悪性転化を伴った縦隔成熟奇形腫の1例
小圷 徹土屋 恭子森木 利昭
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2021 年 82 巻 12 号 p. 2130-2135

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抄録

症例は45歳,女性.定期健診の胸部単純X線検査で胸部異常陰影を指摘され,当院を受診した.単純CTで前縦隔右側に40×25×25mmの類円形腫瘤を認め,内部は不均一で脂肪成分を伴うことから奇形腫が疑われた.剣状突起下より胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行,右肺上葉の一部,胸腺を合併切除し,腫瘍を完全切除した.病理組織学的検査所見では,主に成熟奇形腫の成分であったが,一部にカルチノイド(5×5mm)を認めたことから,カルチノイドへの悪性転化を伴った縦隔成熟奇形腫と診断した.術後経過は良好で,術後5日目に退院した.追加治療は行わず,術後2年が経過した現在でも再発は認めていない.縦隔成熟奇形腫の手術では悪性転化の可能性を考慮し,可能な限り完全切除を行う必要があると考える.

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