日本臨床外科学会雑誌
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症例
積極的な治療を行った胃癌術後脳転移の3例
外田 慎野村 尚橘 知睦福島 紀雅飯澤 肇
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キーワード: 胃癌, 脳転移, 血行性転移
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2020 年 81 巻 3 号 p. 479-485

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抄録

胃癌脳転移は比較的稀であり,予後不良とされている.今回,われわれは胃癌術後の脳転移症例に対し,積極的に治療を行った3例を経験した.症例:男性1例,女性2例だった.胃癌手術時の年齢中央値が61歳だった.胃癌の進行度はpStage III Cが2例,pStage IV(肝転移)が1例だった.脳転移再発までの期間は全例が12カ月以上だった.転移個数は単発が1例で,多発が2例だった.脳転移に対しての治療は2例が定位放射線治療を施行され,1例は手術を施行された.転帰は全例が癌死で,2例が脳病変の進行に伴う脳ヘルニアで,1例が肺病変の進行に伴うものだった.脳転移再発後の生存期間は,27日,8カ月,9カ月だった.

脳転移再発後の予後は悪いとされていたが,比較的長期生存を認めた.脳転移病巣のコントロールが重要であり,治療可能な病変であれば積極的に治療を考慮すべきであると考えられた.

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