2020 年 81 巻 7 号 p. 1424-1428
症例は22歳,男性.2週間前から発熱と右側腹部痛を認め,近医を受診し抗菌薬処方されたが,症状改善ないため当院へ紹介となる.腹部造影CTにて後腹膜にガス像を伴う長径65mmの低吸収域を認め,後腹膜膿瘍と診断した.膿瘍の原因疾患となるような尿路感染,虫垂炎,憩室炎,膵炎などは認めなかったため,原発性後腹膜膿瘍と診断し,超音波ガイド下に経皮的ドレナージ術を施行した.抗菌薬投与とドレナージを施行後,第8病日のCTにて膿瘍腔は消失し,第10病日にドレーンを抜去,第13病日に自宅退院となった.基礎疾患のない若年者に発症した原発性後腹膜膿瘍は稀な病態であり,経皮的ドレナージで治癒した1例を経験したので報告する.