日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂炎で発症し保存的加療後に手術を行った虫垂goblet cell carcinoidの1例
東 侑生渡辺 一輝風見 由祐古嶋 薫針原 康
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2017 年 78 巻 7 号 p. 1553-1556

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抄録

症例は78歳の女性で,2週間前からの右下腹部痛を主訴に受診した.臍部から右下腹部にかけて間欠的な自発痛と圧痛を認め,腹部造影CTで虫垂の腫大と周囲脂肪織濃度の上昇があり,急性虫垂炎と診断した.虫垂に造影効果を伴う壁肥厚を認めたため悪性腫瘍も考慮して,保存的加療を選択した.症状消失後に施行したPET-CTでは虫垂に集積を認めたため,虫垂腫瘍の診断で手術は腹腔鏡下回盲部切除術D2郭清を施行した.切除した虫垂は肉眼的には壁肥厚を認めるのみで粘膜面は正常であったが,病理組織学検査・免疫組織学的検査にてgoblet cell carcinoid(GCC)と診断した.リンパ節に転移はなくpT2N0M0,pStage Iであったため後療法は施行せず,術後6カ月経過した現在まで再発を認めていない.GCCを含む虫垂腫瘍は急性虫垂炎を発症することもあり,急性虫垂炎の診療時には常に念頭に置いておく必要がある.

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