日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腹腔鏡下手術にて摘出した後腹膜paragangliomaの1例
安藤 拓也前田 頼佑村瀬 寛倫中野 浩一郎深尾 俊一伊藤 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 12 号 p. 3020-3025

詳細
抄録

症例は78歳,男性.糖尿病増悪のためスクリーニング目的に行った腹部CT検査にて,下十二指腸曲尾側に多血性嚢胞性腫瘍を認めた.十二指腸造影では下十二指腸曲の壁外性圧迫を認めた.十二指腸原発の粘膜下腫瘍または上行結腸の腸間膜腫瘍の診断にて,腹腔鏡手術を施行した.手術所見では後腹膜原発の腫瘍であり,腫瘍の背側は大動脈および下大静脈との強固な線維性癒着がみられ,その中に腫瘍に直接流入出する短い動静脈が多数見られた.腹腔鏡手術では腫瘍背側を水平方向からの視野で見ることができ,腫瘍の背側に流入する短い茎の腫瘍血管を安全に処理することが可能であった.摘出標本では充実部と嚢胞部が混在した大きさ55×42mmの腫瘍であり,病理検査ではparagangliomaの診断であった.稀な腫瘍である後腹膜paragangliomaを腹腔鏡手術にて摘出した1例を報告する.

著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top