日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢癌切除後1年で遺残膵内胆管に発癌した膵・胆管合流異常の1例
松本 拓味木 徹夫篠崎 健太木戸 正浩福本 巧具 英成
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2063-2068

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抄録

現在,膵胆管合流異常に対する分流手術は広く行われているが,術後に遺残した胆管からの発癌が問題となっている.今回,合流異常を伴う胆嚢癌の切除後に遺残した膵内胆管に発癌した症例を経験したので報告する.症例は66歳の男性.先天性胆道拡張症,膵胆管合流異常に合併した進行胆嚢癌に対して胆嚢床切除術,肝外胆管切除術および胆道再建術を施行した.一年後のFDG-PETにて膵頭部にFDGの集積を認めた.腹部CTでは膵内胆管内に充満する腫瘍を認め,ERCPでは腫瘍による陰影欠損を認めた.生検で腺癌が検出され,肝外胆管切除後の膵内遺残胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.術後28カ月現在,無再発生存中である.本疾患は初回分流手術後長期間経過してから発生することが多く,膵・胆管合流異常に対する分流手術後は遺残した胆管からの発癌を念頭に置いた長期間にわたるフォローアップが必要であると考えられた.

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