日本臨床外科学会雑誌
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症例
外科治療により救命できた重症偽膜性腸炎の1例
小野 賀功大原 守貴菊池 剛史康 祐大君塚 圭三宅 洋
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キーワード: 重症偽膜性腸炎, 手術
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2740-2744

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抄録

重症偽膜性腸炎に対しては早期の外科手術が推奨されているものの,手術例の死亡率は24-80%とその予後は不良である.大腸全摘もしくは亜全摘が推奨されているが,術式は十分に確立されていないのが現状である.今回,結腸左半切除で右側結腸を温存し救命しえた1例を経験した.症例は82歳の男性.市中肺炎の治療に抗菌薬を使用した後に下痢が出現した.近医を受診し偽膜性腸炎の診断でmetronidazoleによる治療を開始したが,腹痛と腹部膨満が出現したため当院を受診した.内科入院後に下血が見られ,白血球数が著増,画像検査で巨大結腸の所見を認め,さらにSIRSも呈したため外科へ紹介.重症偽膜性腸炎と診断し緊急手術を行った.右側結腸には異常所見を認めなかったため結腸左半切除術を行い,横行結腸を単孔式人工肛門とした.術後,septic shockとDICを呈したが幸い治療に反応し救命できた.

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