日本臨床外科学会雑誌
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症例
早期胃癌を契機に発見され腹腔鏡下同時切除した盲腸多発顆粒細胞腫の1例
萩原 英之去川 秀樹宮前 拓鎌田 順道加納 恒久内山 喜一郎
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1445-1449

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抄録

大腸顆粒細胞腫は比較的稀な疾患とされている.今回,早期胃癌を契機に発見され,腹腔鏡下で同時に切除を行った盲腸多発顆粒細胞腫の1例を経験した.症例は47歳の男性.主訴は心窩部痛,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部のIIc病変指摘,当院紹介となった.CTにて盲腸に約1cm大の腫瘤が認められ,また下部消化管内視鏡で同部に12mm大と10mm大の2個の粘膜下腫瘍が認められた.早期胃癌および盲腸粘膜下腫瘍の診断で,腹腔鏡補助下幽門側胃切除+回盲部切除を施行した.術後の病理組織検査で盲腸多発顆粒細胞腫と診断された.術後第8病日に縫合不全で再手術したが,その後の経過は良好で第23病日で軽快退院となった.大腸顆粒細胞腫は定型的な治療はなく,本症例では早期胃癌に対する手術と同時に回盲部切除も施行したが,術前診断がついていない多発性の腫瘍であったことを考えると,妥当な術式であったと考えられた.

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