日本臨床外科学会雑誌
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症例
3D-CTAにより術前診断可能であった下腸間膜動脈分岐異常を伴う直腸癌の1例
近藤 宏佳山口 茂樹石井 利昌田代 浄原 聖佳桑原 隆一
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1440-1444

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抄録

症例は63歳,男性.血便を主訴に前医受診し,精査の結果,直腸癌と診断され,手術目的で当院紹介となった.術前3D-CT angiography(3D-CTA)にて下腸間膜動脈が上腸間膜動脈より分岐していた.術前診断はRS,T3(SS)N0M0 Stage IIであり,腹腔鏡下高位前方切除術,十二指腸尾側レベルまでの郭清を行った.術後経過は良好で術後6日目に退院となった.病理組織学的診断はtub2,2型,腫瘍径64×39mm,pT3(SS),pPM0,pDM0,pRM0,pN0(0/34),fStage IIであった.術後1年まで再発を認めていない.当院において,2007年4月から2014年5月までに左側結腸および直腸を主占居部位とした大腸癌原発切除症例数は1,516例あるが,下腸間膜動脈が上腸間膜動脈から分枝する分岐異常を認めたのは本症例のみと,非常にまれであり,ここに報告した.

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© 2015 日本臨床外科学会
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