2015 年 76 巻 6 号 p. 1413-1416
症例は46歳,女性.間歇的な下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診.右下腹部に限局して圧痛と反跳痛,筋性防御を認めた.腹部造影CTで上行結腸に層状構造を呈する腫瘤像を認めたため腸重積と診断した.腹水はなく,明らかな腫瘤性病変の指摘もできなかった.大腸内視鏡により整復を施行し,速やかに腹部症状も消失した.その後の精査で腸重積の原因となるような器質的疾患は認めず,特発性腸重積と診断した.整復後6カ月が経過したが,再燃することなく外来経過観察中である.内視鏡的に整復しえた成人の特発性腸重積症の報告は稀であり,若干の文献的考察を含め報告する.