日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前化学療法後に化生癌成分が残存した乳癌の1例
長谷川 聡原田 郁大田 洋平福島 忠男中山 崇池 秀之
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キーワード: 乳腺化生癌, 化学療法
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2140-2144

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抄録

化生癌は乳癌取扱い規約では特殊型に分類されるまれな乳腺悪性腫瘍で,抗癌剤に対して抵抗性で予後不良とされている.われわれは,化学療法前の針生検では認めなかった化生癌成分が切除標本に残存した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は43歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診し,triple negative乳癌と診断された.MRIでは右CD領域に3.1cmの境界不明瞭な腫瘤を認め,T2N0M0 Stage IIAの術前診断で,術前化学療法前にSLNBを行ったところ,0.5mmの微小転移を認めた.FEC100×4+Docetaxel(75mg/m2)×4を行い,腫瘤はMRI上1.6cmまで縮小し,乳房部分切除のみを行った.残存した腫瘍径は1.0×0.8×0.8cmで化生癌成分が残存していた.化学療法が通常型乳癌に対して効果を示し化生癌成分のみが残存したと推定される.術後2年6カ月を経過し無再発生存中である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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