日本臨床外科学会雑誌
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症例
動脈性虫垂出血を認めた急性虫垂炎の1例
甫喜本 憲弘藤島 則明谷田 信行大西 一久山井 礼道笹 聡一郎
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2014 年 75 巻 7 号 p. 1904-1908

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抄録

症例は28歳,男性.生来健康であったが,突然の下痢・血便を主訴に来院した.上腹部に軽度の腹痛を認めるのみであった.血液生化学検査で異常なかったが,CT検査にて動脈相で虫垂出血を認めた.虫垂腫大などの急性虫垂炎を疑う所見は認めなかった.下部消化管内視鏡検査では,回腸末端から盲腸部に新鮮血を認めるものの,憩室や潰瘍,血管性病変は認めなかった.詳細に観察すると虫垂口から血液が滲み出てきた.虫垂出血(原因不明)の診断で,単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.視診上は正常虫垂と思われた.回腸末端から口側に確認したがMeckel憩室も認めなかった.病理組織検査結果はAcute phlegmonous appendicitisであり,動脈性出血をきたすような潰瘍形成や露出血管は認めなかったが,糜爛や膿瘍形成などに伴う毛細血管の増生を認めた.術後は下血や貧血の進行を認めず,術後4病日で軽快退院となった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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