日本臨床外科学会雑誌
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症例
CTにて術前診断した外側型盲腸周囲ヘルニアの1例
陶山 雅子安野 正道高橋 英徳若山 達郎
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2013 年 74 巻 3 号 p. 833-837

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抄録

症例は89歳,女性.嘔吐,右下腹部痛を主訴に当科紹介受診となった.受診時,右下腹部に高度の圧痛を認めた.腹部手術の既往歴なし.腹部CTにおいて,右下腹部にループ状に拡張した回腸を認めた.その拡張した回腸により上行結腸は内側に圧排され狭窄していた.盲腸周囲ヘルニアを疑い,緊急手術を施行した.開腹すると,右傍結腸溝から盲腸外側への回腸の陥入を認めた.嵌入した回腸は拡張して,盲腸から上行結腸を内側へ圧排していた.外側型盲腸周囲ヘルニアと診断した.本例にみられた盲腸周囲ヘルニアは,本邦でよく引用される分類法の,上回盲窩,下回盲窩,虫垂後窩,盲腸後窩型の4つのいずれにも分類されない外側型であったが,腹部CTにおいて,盲腸と陥入腸管の外側型の特徴的な位置関係が把握され,外側型との術前診断が可能であった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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