日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸重積をきたした横行結腸巨大脂肪腫の1例
佐藤 力弥川村 武佐々木 邦明野口 忠昭細野 知宏池上 雅博
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キーワード: 大腸脂肪腫, 腸重積
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2012 年 73 巻 3 号 p. 613-617

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抄録

大腸脂肪腫は比較的稀な疾患だが,内視鏡検査の普及に伴い報告例が増えている.今回われわれは腸重積をきたした横行結腸巨大脂肪腫に対し外科的切除を施行した1例を経験した.症例は73歳,女性.間欠的な左下腹部痛を主訴に受診した.下部消化管内視鏡検査では下行結腸にびらんを伴う粘膜下腫瘍を認め,基部が口側腸管を引き込んでおり深部への挿入はできず.腹部CTでは脂肪濃度の腫瘤が描出され,横行結腸脂肪腫が下行結腸に引き込まれて腸重積をきたしていた.治療は開腹にて横行結腸部分切除術を行った.腫瘤は最大径83mm大,亜有茎性の粘膜下腫瘍で,病理組織学的には大小不同の成熟した脂肪細胞の増生を認め大腸脂肪腫と診断された.腸重積をきたした大腸脂肪腫に関する本邦での報告は,自験例を含めて26例と比較的稀であり,症例報告に文献的考察も加えた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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