2012 年 73 巻 11 号 p. 2942-2945
症例は59歳,男性.主訴は心窩部痛.慢性腎不全により6年の腹膜透析(以下,CAPD)を経て,その後10年間血液透析(以下HD)を導入されている.高熱,心窩部痛を認めて受診.CT,MRCPにて胆嚢壁肥厚と胆石,総胆管の拡張とともに総胆管結石が認められた.内視鏡的乳頭切開(以下,EST)を行い,総胆管結石採石を試みられたが,不可能と判断され,外科へ転科し,腹腔鏡下胆摘(以下,LC)+胆管切石術(以下,LCDL)を行った.CAPD既往患者に対するLCDLに関する報告はなく,手術に際しては,腹膜の肥厚や被嚢化により手術の難易度が上がるため,腹腔鏡下手術は敬遠されがちである.しかし,今回われわれは,CAPD既往のあるHD患者にLCDLを施行し,術後もとくに合併症なく経過したため,開腹でなくより低侵襲な腹腔鏡下での手技もCAPD既往のあるHD患者に対する術式の選択肢に加えてもよいと思われた.