2012 年 73 巻 9 号 p. 2295-2299
症例は49歳,男性.小学生時から,腹部の強い疼痛を自覚し近医を受診することが数年に一回程度あった.その度に投薬治療で保存的に軽快していた.2008年6月に臍部に鈍痛を自覚.2日後同部位に激痛が出現し,当院救急外来を受診した.臍部,右側腹部,右下腹部に圧痛を認め,WBC 11,400/μl,CRP 0.12mg/dlと軽度の炎症所見を認めた.腹部CTで右臍下部に嚢状に拡張した腸管と渦巻き状のwhirl signを認め,小腸軸捻と診断し同日緊急開腹術を施行した.回腸末端より75cm口側回腸の腸間膜付着部対側腸壁より捻れた茎部によって連続する11×10cm大の腫瘤を認め,Meckel憩室茎捻転と診断した.小腸部分切除は行わず憩室摘出術を行った.茎捻転はMeckel憩室の比較的まれな合併症である.