日本臨床外科学会雑誌
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症例
Pemetrexed+CDDP療法を実施した腹膜中皮腫の1例
上田 吉宏榎本 直記本山 一夫大野 玲廣川 勝昱倉田 盛人
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2425-2430

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抄録

症例はアスベスト曝露歴を有した70歳男性.2008年5月下旬に下腹部膨満を主訴に来院.大量の腹水貯留が見られるも,腹膜播種をきたしうる原発巣は検出されず,腹水ドレナージ後に審査腹腔鏡を施行.腹膜全体に白色の小結節を無数に認め,同病変の病理検査の結果,中皮腫の診断となった.胸膜中皮腫の合併はなかったが,その治療に倣い6月よりPemetrexed+CDDP療法を開始.一時的に効果を得たが,5クール後に腹水増加など見られProgressive diseaseの状態となった.以降,各種化学療法を順次行ってきたが病勢が進行し,診断から約15カ月後に死亡した.比較的稀な疾患である腹膜中皮腫に対するPemetrexedの使用経験を中心に文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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