2011 年 72 巻 8 号 p. 2088-2091
症例は44歳,男性.健診にて前立腺の腫瘤を指摘され,骨盤MRIにて直腸(Rb)前壁と前立腺にはまり込むように38×45mm大の腫瘍性病変が認められ,間葉系由来の腫瘍が疑われた.原発は直腸,前立腺のいずれかは不明瞭であったが,経直腸的生検を施行したところgastrointestinal stromal tumor(以下GIST)と診断された.注腸および下部消化管内視鏡で腫瘍は描出されず,直腸以外の原発の可能性も考えられた.腫瘍は前壁に局在し,前立腺への浸潤,癒着が疑われたため,経仙骨でなく,経会陰的に手術を施行した.腫瘍は直腸を壁外性に発育し前立腺に癒着していたため,これを剥離して腫瘍を含めた直腸局所切除術を施行した.術後診断は直腸原発のGISTであった.