日本臨床外科学会雑誌
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症例
S状結腸粘膜壊死をきたしたミトコンドリア脳筋症の1例
神宮 彰鈴木 知信石山 智敏松本 秀一山本 隆長谷川 和住
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2011 年 72 巻 1 号 p. 121-125

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抄録

ミトコンドリアの機能異常により発症する神経筋疾患をミトコンドリア脳筋症(MELAS)とよぶが,その機能不全は骨格筋と中枢神経症状だけでなく,内分泌,腎,心,消化器症状などがみられる.われわれはS状結腸粘膜壊死を伴ったミトコンドリア脳筋症を経験したので報告する.症例は以前にMELASと診断されていた53歳の女性.腹痛および吐き気で発症し,大腸ファイバー上,広範なS状結腸粘膜壊死が認められ,左半結腸切除術を施行した.本症例での虚血性変化以外の形態学的異常として,i)固有筋層の外縦層の萎縮,ii)筋層間神経叢におけるガングリオン細胞の変性や脱落・減少,iii)血管壁の厚さに異常が認められた.i)およびii)は,文献的にもMELASによる変化として報告されており,本症例もMELASによって虚血性変化が起こったと考えられる.MELASの治療法がない以上,今後も厳重なfollowが必要と思われた.

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© 2011 日本臨床外科学会
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