日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径ヘルニア嵌頓を契機に発見されたS状結腸癌の1例
平光 高久永田 二郎西 鉄生大西 英二間瀬 隆弘橋本 昌司
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2751-2755

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抄録

鼠径ヘルニア嵌頓を契機に発見されたS状結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は89歳の男性,2005年7月,右鼠径部腫大で当院受診となった.右鼠径ヘルニアと診断した.その4日後,右鼠径部痛で再受診し,右鼠径部腫大,圧痛を認め,還納を試みたが不可能であり鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.同日ヘルニア根治術施行した.ヘルニア嚢を開放すると,内部に大網が嵌頓しており,一部に結節性変化を認めた.嵌頓していた大網を切除して病理組織学的検査を行ったところ,腹膜播種との診断であった.後日,大腸内視鏡検査でS状結腸に全周性の2型腫瘍を認め,病理組織学的検査でS状結腸癌と診断された.そのため,S状結腸部分切除術を施行したところ,腹腔内に腹水,多発性の腹膜播種結節を認めた.鼠径ヘルニアを契機にして結腸癌が発見される症例は稀であり,自験例を含む本邦報告5例の検討を行った.

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© 2009 日本臨床外科学会
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