日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃全摘術後患者に発症した魚骨によるMeckel憩室穿孔の1例
諸橋 一矢越 雄太山田 恭吾松浦 修山崎 総一郎藤田 正弘
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キーワード: 魚骨, Meckel憩室, 憩室穿孔
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2696-2700

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抄録

Meckel憩室は一般的に無症状のため,治療の必要はないが,穿孔をきたすなどの有症状症例が治療の対象となるとされている.症例は約3年前に胃全摘が施行された67歳の男性である.下腹部痛を訴え,原因不明の腹膜炎として開腹手術が施行された.開腹時,腹腔内を検索すると,腸管外に4.3cmの魚骨が認められた.穿孔部位を検索すると,回腸末端より約50cm口側にMeckel憩室が認められ,その先端部に魚骨の穿孔部位が認められた.魚骨によるMeckel憩室穿孔と診断され,憩室切除術が施行された.本症例は本邦に16例の報告があり,比較的稀である.報告例の中に胃全摘後の症例は見あたらなかったが,胃全摘は低酸状態と小腸への易通過性のため,魚骨による消化管穿孔の重大な危険因子と考えられた.今回われわれは胃全摘術後患者に発症した魚骨によるMeckel憩室穿孔の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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