日本臨床外科学会雑誌
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症例
卵巣癌術後に横隔膜下播種性転移を疑われた成人右側Bochdalek孔ヘルニアの1例
松下 英信大河内 治服部 正嗣坪井 賢治加藤 伸幸川瀬 義久
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2669-2672

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抄録

症例は21歳,女性.約1年前に子宮外妊娠の疑いにて左付属器摘出術を施行され,病理結果で卵巣癌と診断された.術後に血中hCG高値を認め,化学療法が施行されていたが,CTにて右ドーム部に増大傾向にある約3cm大の腫瘤を認めたため,播種性転移を疑い手術を施行した.術中所見は,右横隔膜にヘルニア嚢を有する径3cm大の筋層欠損部を認め,同部より胸腔へ突出する肝を認めるのみであり,術中超音波検査でも肝内に腫瘤は認めず,ヘルニア門を縫合閉鎖し手術終了とした.成人の右側Bochdalek孔ヘルニアは非常に稀な疾患であり,今回われわれは,その経時的な変化を画像で捉えた症例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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