日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性硬化性胆管炎に並存した早期胆嚢管癌の1例
又木 雄弘新地 洋之野間 秀歳蔵原 弘夏越 祥次高尾 尊身
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2009 年 70 巻 6 号 p. 1814-1819

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抄録

症例は53歳,男性.腹痛を主訴に前医受診し,胆嚢ポリープを伴う胆嚢炎の診断.腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,Lap-Cと略記)行い,病理組織にて深達度mpの胆嚢管癌かつ切除断端陽性であった.追加加療目的に当科紹介入院.ERCにて上部胆管から肝内胆管に枯れ枝状の狭窄像あり,原発性硬化性胆管炎(以下,PSCと略記)の診断.PSC合併胆嚢管癌疑い,肝外胆管切除術施行.最終病理診断にて胆嚢管を主座とする深達度mpの乳頭腺癌であり,総胆管粘膜に表層進展する粘膜内癌を認めた.上部胆管は線維性増殖した全周性壁肥厚を認め,PSC合併早期胆嚢管癌と診断された.術前診断時,ERC所見によりPSCの診断,かつLap-Cにより胆嚢管癌が明らかとなった.胆管狭窄の原因として,進行胆管癌も否定し得なかったが,組織診断にて,PSC合併早期胆嚢管癌であることが判明した.

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© 2009 日本臨床外科学会
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