日本臨床外科学会雑誌
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症例
10年の経過で腹膜播種をきたした胃印環細胞癌の1例
高須 香吏中山 中飯島 智竹内 信道辻本 和雄伊藤 憲雄
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2008 年 69 巻 8 号 p. 1925-1929

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抄録

症例は60歳,女性.1997年胃癌の診断で胃全摘術+膵体尾部脾合併切除(Roux-en Y再建)が施行された.病理診断は印環細胞癌(T3(SE),N1,M0,Stage IIIA,Cur B)であった.5年間ドキシフルリジン600mg/dayが投与され,再発なく経過していた.2006年夏頃から心窩部のつかえ感・体重減少があり,胃癌の局所再発による通過障害と診断された.2007年5月に手術が施行された.腫瘍は挙上腸管の壁外から発生し,周囲を一塊に巻き込む腹膜播種と考えられた.開胸の上,腹部食道・挙上空腸切除,肝外側区域切除,横行結腸切除を行った.組織病理学的に印環細胞癌の腹膜播腫再発と診断された.術後経過は順調で,現在外来で化学療法を行っている.胃印環細胞癌は比較的早期に腹膜播種として再発することが多いとされるが,10年の経過で再発した症例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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